メキシコの公共空間とデザイン

メキシコの都市には、広場や街路をはじめとするまちなかの公共空間における、人々の暮らしや活動を支える様々なデザイン上の工夫を見ることができます。メキシコ各地の豊かな公共空間の風景から、歴史や地域性に富んだメキシコの街の雰囲気を感じて頂くとともに、メキシコを訪れる際のまち歩きの参考にして頂ければ幸いです。

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雨風や強い日差しから守られた柱廊には、1階部分の飲食店の路上客席が展開する
囲われ感のある柱廊は、露店や靴磨きの営業から逢引きまで幅広い用途に供される
港町では、レストランやバーのテラス席が道路や広場上に展開する
柱廊・テラス席が、マリアッチ、ソン・ハローチョといった民族音楽の場となる
鉄とガラスで構成されるパサージュの屋根が、快適なウィンドウショッピングや散策のための空間を提供する
露店整理に由来するパサージュでは、バーゲン品が大衆の暮らしを支えている
クリアカンを代表する建築家、Luis F. Molinaによって設計されたGarmendia市場(1918)
採光やベンチレーションを考慮した水平方向の大空間が市民の台所を支える
機能主義やモダニズムの影響が垣間見える、20世紀半ばに建設された市場建築
店主の好みに応じてカスタムされた、お菓子やスナックを販売する移動式屋台

新聞・雑誌スタンドや土産物屋の露店は、地域によってデザインが統一されていることも多い
広場で営業する靴磨きの屋台も地域によってデザインが異なっている
広場によって異なるキオスクのデザインに建築スタイルの変遷を見ることができる
広場中央に鎮座するキオスクは広場の顔となるアイコン的存在でもある
上手に設えられたベンチには自然と人が集まってくる
20世紀初頭フランスの影響を受けてユカタン地方で発明されたとされる”愛のベンチ”をはじめ、ベンチのデザインに歴史や地域性を見ることができる
ベンチの役割は憩いの場にとどまらず、地域住民が趣味に興じる場となる
日差しが強いメキシコの街では、木陰の下に休憩装置が設られている
広場に植えられた樹木の種類や刈り込み方に地域性を見ることができる
噴水の造形も広場や公園の顔となる重要なデザイン要素である
近年、全国的に旧市街再生が進む中、こどもの遊び場として新たに噴水が設置されるケースも
水の持つ求心力に引き寄せられて、噴水の周りには自然と人が集まってくる
1920年代の壁画運動に始まり、公共空間に面した壁面は芸術表現の場となっている
グラフィティアートの力で荒廃した旧市街を再生する動きも見られる
広場が舞台となり、階段が座席となることで、都市の演劇性が誘発される
セレモニーからファッションショー、音楽ライブまで、広場で様々なイベントが繰り広げられる

メキシコの現代建築とデザイン

メキシコ建築=カラフルなルイス・バラガンの作品を思い浮かべる方も多いでしょうが、バラガンだけではない豊かなメキシコ建築の魅力を思う存分に感じて頂きたく、かなり久しぶりにブログを更新してみました。テキスト少なめですが、建築ファンもそうでない方も、画像から現代メキシコ建築の魅力を是非感じてください!

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モダニズムのデザイン言語を駆使しながら数多くの公共建築を設計したマリオ・パニ、メキシコ版の丹下健三とでも言うべき存在
メキシコモダニズムの集大成とも言える超巨大団地、メキシコ版ユニテ・ダビタシオン、外部空間には豊かなみどり
1階部分には商業や公共機能を収容したピロティが広がり、各戸はメゾネットとなっている
IN STUDIO主宰 小笹氏によるリノベーション(2~3年住んでいた思い出の部屋)
屋根高を大きくとったアーチ状の架構がズラリと連なる機能主義的なレイアウト
メキシコの台所を支える巨大市場、火災で西側の大部分が焼け落ちてしまった
大規模な火災後の市場の再建にあたっては、既存のフォルムを生かしながら公共空間の拡充と地域の環境改善を図った
メキシコにおける批判的地域主義建築とその系譜
5 plus One主宰 大澤氏とヒラルディ邸の一軒隣に住んでいたことも
色使い、光と影、ディテールへのこだわり、空間構成、内部と外部の境界領域の操作に余念がない
住宅地に溶け込む地味な外観からは想像できない豊かな内部空間が広がる
カラフルな色使いと噴水などの仕掛けがポップでユニークな空間を生み出している
フアン・オゴルマンによる世界最大のモザイク壁画、北側はアステカの古代文明、南側はスペイン植民地時代の圧政、東側は太陽や宇宙などのサイエンス、西側は大学の校章を中心に学生の様子を描いている
図書館1階部分には贅沢に使われたマーブルから漏れる光が内部空間を包み込む贅沢な演出
中央の大屋根を一本の柱で吊るダイナミックな造形と水の流れ
角度によって見え方が変わるリズミカルなファサードの変形ルーバー
HPシェル構造を用いた流れるような曲面とそれを支える柱のダイナミズム
街中に突如として現れるも街並みと不思議と一体感のあるフォルム
超小型の研究施設からメトロの駅舎まで大小様々なスケールにHPシェルを応用
スカイハウスを彷彿とさせるメタボリックな建築の造形
カラクムル・センターは「サンタフェ地区の洗濯機」と揶揄されることも…
遺跡を彷彿とさせる階段状と直線的な造形が内部空間にも展開する
コンクリート壁面にはマーブル状の骨材が吹き付けられ、独特の表情を見せている
荒々しくも無機質なコンクリートのパワーに対して原色の差し色が落ち着きを与える
内部のダイナミックな動線計画と、外部空間との緊張感溢れる境界部の演出
元々溶岩地帯であった外部空間と内部空間の領域をオーバーラップさせたカフェスペース
21世紀美術館を彷彿とさせるプランの中には多様なギャラリースペース等が収容されている
アルベルト・カラチのバスコンセロス図書館は、これまでの図書館の空間概念を大きく変えた名建築